鋸歯きょし)” の例文
旧字:鋸齒
恐ろしい形の山で、稜線が鋸歯きょし状に深く切れこんでいて、いかにも峨々という言葉が文字どおりにあてはまるような山の形である。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それは実によく晴れわたった、おだやかな夏の夕だった。眼のまえの屏風岩のギザギザした鋸歯きょしのようなグラートのうえにはまだ、夕雲はかがやかにいろどられていた。
葉序は互生、基部狭隘、辺縁に鋸歯きょし状の刻裂がある。四枚の花弁と四個のがく、花冠は大きく花梗は長い。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
道はますますけわしくなる、鋸歯きょし状の小峰を越ゆること五つ六つ、午後二時二十分、最高峰奥穂高「信飛界、奥穂高岳、徹蔵氏」「信飛界、岳川岳、フィシャー氏」の絶巓ぜってんに攀じ登った。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
右手には伊豆半島の東側の海岸線が鋸歯きょし状に沖へ伸びている。
謎の女 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)