野盗やとう)” の例文
はて? 残虐ざんぎゃくと利慾よりなにも知らぬ野盗やとうかしらが、なんのつもりで、こうていちょうにするのかと、伊那丸は心ひそかにゆだんをしない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のこる兵たちは、忽ち、士官と一しょに、野盗やとうと化し、城内の器物をあばき合って、またたくまに、一兵のこらず、何処いずこへともなく、逃げ去ってしまった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城をうしない、裾野すそのの勢力をうしなった呂宋兵衛は、たちまち、野盗やとう本性ほんしょうにかえって、落ちてきながら、通りがけの部落をかたっぱしから荒らしてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富士ふじ裾野すそのに、数千人の野武士のぶしをやしなっていた山大名やまだいみょう根来小角ねごろしょうかくほろびてしまった。しかし、野盗やとうである人穴ひとあな殿堂でんどうはいぜんとして、小角の滅亡後めつぼうごにも、かわっている者があった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)