野獣けもの)” の例文
旧字:野獸
私は野獣けもののような荒い佐久女の本性に帰って、「御母さん、御母さん」と目的あてどもなく呼んで、相生町の通まで歩いて参りました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私は初めて人間の生血をる、恐ろしい野獣けものの所為をまのあたり見た。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
兄の耳のあたりを打ち返した。二人の兄弟は怒の為に身を忘れて、互に肩を聳して、丁度野獣けもののやうに格闘あらそひを始める。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
野獣けもののように土だらけな足をして谷間たにあい馳歩かけあるいた私が、結構な畳の上では居睡いねむりも出ました位です。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まるで帯とけひろげのように見える荒くれた女が野獣けもののように走って行くのもあった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)