野火止のびどめ)” の例文
しかし私は去年埼玉県の野火止のびどめ平林寺へいりんじというところへ籠もって坐禅していたのでありますが、そのときに思ったのであります。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
いつぞや城太郎に追いつめられて覚えのある野火止のびどめ立場たてばまで来た。ところが部落の入口には、乗馬や荷駄や、長持や駕籠かごでいっぱいだった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その後にもう一度、今度は浦和から志木しき野火止のびどめを経て成増なります板橋の方へ帰って来るという道筋を選んでみた。志村から浦和まではやはり地図にない立派な道路が真直ぐに通っている。
異質触媒作用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二十歳はたちか、二十一、二ぐらいな、一方の気品のある明眸めいぼうの麗人は、おととしの秋、武州野火止のびどめの合戦で
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
野火止のびどめという所に平林寺へいりんじというお寺がありまして、そこに大休たいきゅうという人があります。これは私のみるところでは関東一の禅宗寺であると思いますが、ここで私は坐禅をしたことがあります。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
草の中に、膝をかかえているまに、野火止のびどめの宿も、秩父ちちぶの連峰も、白い夕霧につつまれている。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
草の彼方に、土蜂の巣をならべたようなわら屋根が幾つか見える。野火止のびどめの部落であった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからだ、熊楠が、岩櫃山いわびつやまの城で、一番槍一番首の名のりをあげ、又、野火止のびどめの合戦では、大将首を取ったりして、合戦の度ごとにぐんぐんと足軽組から抜けだして立身して来たのは
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)