酔歩蹣跚すいほまんさん)” の例文
神尾主膳は、さしおいた伯耆の安綱の刀を持って酔歩蹣跚すいほまんさんとして、逃げて行くお銀様の後を追いかけました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
酔歩蹣跚すいほまんさんと立ち向った大柄な武士があって、かなり腕の利く男だったという。
口笛を吹く武士 (新字新仮名) / 林不忘(著)
国民学校教師、野中弥一、酔歩蹣跚すいほまんさんの姿で、下手しもてより、庭へ登場。右手に一升瓶、すでに半分飲んで、残りの半分を持参という形。左手には、大きい平目ひらめ二まい縄でくくってぶらさげている。
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
少時しばらくの後、酔歩蹣跚すいほまんさんとして通行人に訊いたのはその序曲だった。
一年の計 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この男だけが例の酔歩蹣跚すいほまんさんとして、全く、いい心持で、踊るが如くに踏んでいるその足許あしもとだけは変らない。
と思って見直すと、提灯持をそこに置きはなして、自分はもう前へ進んで、橋の詰の方へ酔歩蹣跚すいほまんさんとして行く姿が見える。そのぬしも酔っているが、提灯の斎藤も少なからず酔っている。