遠賀をんが)” の例文
正勝は熊本へ行くのに、筑前國遠賀をんが山鹿やまがを過ぎるので、丁度下國したばかりの忠之は、福岡から迎接の使者を出した。正使は十太夫で、副使は黒田市兵衞である。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
六十六部に身を扮装やつして直江志津の一刀を錫杖に仕込み、田川より遠賀をんが川沿ひに道を綾取あやどり、福丸といふ処より四里ばかり、三坂峠を越えて青柳の宿しゆくに出でむとす。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
谷深くさぐる一宇は、永遠の芸術境を求める一つの私の心境をうたつた句であり、遠賀をんがの長堤に青すゝきをかきわけかきわけ孤り辿りゆく句境涯も、生きゆく闘ひをこめた心の姿である。
万葉の手古奈とうなひ処女 (新字旧仮名) / 杉田久女(著)
此時一しよに築かれた端城はじろ六箇所の内で、上座郡左右良まてらの城は利安、鞍手くらて郡高取の城は友信、遠賀をんが郡黒崎の城は之房が預つた。七年十一月に福岡城の東の丸で、長政の嫡男忠之が生れた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)