通蔓草あけび)” の例文
一日のうち一時間も日光が射すだろうかと思われるこの谷間の径には到る処に今を盛りの通蔓草あけびの実が垂れ下っていた。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
そして森なかの常磐木にからんで枝垂れてゐる通蔓草あけびの花がいま盛りである。桃畑であつた時のまゝに置いてある家の垣根にもこの蔓草はいつぱいにからんでゐる。(四月十九日)
家のめぐり (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
蔓草も幾種類か匐うてゐる樣であるが、通蔓草あけびが最も多い。そしていまその若葉と、若葉の間に垂れて咲いてゐる花とが、まことに美しい。花は初め袋なりにつぼんでゐるが、やがて小さく開く。
庭さきの森の春 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)