追及つゐきふ)” の例文
平次は二十歳はたち娘の盲目な戀を火のやうに近々と感じて居りました。が、追及つゐきふしたところで、これ以上は言はなかつたでせう。
平次はそれ以上に追及つゐきふする題目も無かつたのでせう。一色友衞と別れて、今度はあやめと廊下で立話をしてゐる鳩谷小八郎を見付けて、人の居ないところにさそひました。
が、平次の氣心を知つてゐるガラツ八は、これ以上追及つゐきふはしませんでした。心細くも同朋町の山崎屋に出向いて、多勢の下つ引を指圖し乍ら、兎にも角にも、その日を無事に過しました。
こんな純な若者を、平次も此上追及つゐきふする氣にはなりませんでした。
不思議な娘心を、平次も追及つゐきふせずには居られません。