輜重兵しちょうへい)” の例文
信濃町停車場前には、輜重兵しちょうへい連隊があった。今の慶応病院である。隊の裏に竹藪があって、竹馬の季節になると、そこへ竹を切りに行った。
四谷、赤坂 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
腰から下は濛々もうもうと舞いあがるほこりにかくして、歩兵の一群が過ぎると、間もなく輜重兵しちょうへいの隊列が、重い弾薬車のきしりで町並の家々をゆすぶりながら通った。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
輜重兵しちょうへいらは弾薬車から馬をはずし、その馬を奪って逃走した。行李こうり車は四つの車輪を上にして転覆し、道をふさいだ。ためにまたそこで多くの虐殺を起こさした。
下顎を削り飛ばされたまま眼をギョロギョロさして涙を流している輜重兵しちょうへいなぞ、われわれ外科医の智識から見ると、奇蹟としか思えない妖怪的な負傷兵の大群が、洪水のように戦線から逆流して来て
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
燃える松薪が盛んに飛びはじめた時、一小隊ほどの輜重兵しちょうへいが駆けつけて来た。群集は、万歳を叫んで兵隊を歓迎した。
四谷、赤坂 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)