較々やや)” の例文
加之しかのみならず較々やや完全に近かつた雅典の人間より、遙かに完全にとほざかつた今の我々の方が、却つて/\大なる希望を持ち得るではないか。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
斉衰は第二等喪服であって、斬衰の場合よりは布の地も良く、縫方なども較々やや丁寧になっており、即ち悲哀の較々小なることを
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
繁の気色の較々やや動いたのを見たのであらう、お夏は慌しく三度口紅をつけた。そして三度振向いた、が、此度は恥し気にではない。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
較々やや霎時しばしして、自分はおもむろに其一片ひとひらの公孫樹の葉を、水の上から摘み上げた。そして、一滴ひとつ二滴ふたつしろがねの雫を口の中にらした。そして、いと丁寧に塵なき井桁の端に載せた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)