蹲居うずくま)” の例文
今や紙帳の裾に蹲居うずくまり、刀を例の逆ノ脇に構え、斬ってずべき機会を窺い、戸外そとの物音を聞きすましている左門とを蔽うていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
背後から追い逼る殺人鬼! 前からは寄って来る悪病の主! 間に挿まれた老人と老婆は、ベタベタと道へ蹲居うずくまった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鳥がけ過ぎ、兎が根もとを走り、野鼠が切り株の頂きに蹲居うずくまり、木洩れ陽が地面に虎斑を作っている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何故だろう? 蜘蛛が、自分の張った網へ、蝶が引っかかろうとするのを、網の片隅に蹲居うずくまりながら、ムズムズするような残忍な喜悦よろこびをもって、じっと眺めている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
遠寄せかそれとも武者押しか? 何者がどこへ行くのであろう? ——不審に思いながら庄三郎は老人の側へ蹲居うずくまり、山査子の藪の隙間からじっと向こうをすかして見た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)