貴嬢きみ)” の例文
旧字:貴孃
この十蔵が事は貴嬢きみも知りたもうまじ、かれの片目はよこしまなる妻が投げ付けし火箸ひばしの傷にてつぶれ、間もなく妻は狂犬にかまれてせぬ。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この時わが胸をきて起こりし恐ろしきおもいはとても貴嬢きみしたまわぬ境なり、またいかでわが筆よくこれを貴嬢きみに伝え得んや。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
貴嬢きみにこのふみを写して送らん要あらず、ただ二郎は今朝夜明けぬ先に品川しながわなる船に乗り込みて直ちに出帆せりといわば足りなん。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)