貫祿くわんろく)” の例文
新字:貫禄
「八五郎親分てえほどの貫祿くわんろくぢやねえが、錢形の親分のところに居る八五郎なら俺に違ひねえ。本人が言ふんだから、これほど確かなことはあるまい」
この時平次は三十を越したばかり、子分と言つても八五郎は二つか三つ歳下といふだけのことですが、智慧も貫祿くわんろくも男前も、違ひ過きるほど違つて居るのでした。
「役者の大村喜十郎、こいつはちよいとした二枚目でさ。尤も、田舍廻りの役者で、江戸のひのき舞臺を踏む貫祿くわんろくぢやありません。男のくせに、ナヨナヨとした大變な野郎で、一名は蟻地獄」
年は若くて、貫祿くわんろくもたいしたことはありませんが、八五郎などとは反對に、恐ろしく才氣走つてゐるので、やがて良い御用聞になるだらうと、世間でも言ひ、自分もさう信じてゐるらしい男です。
「大きいな、さうしてゐるところは大した貫祿くわんろくだよ」
何となく捕物の名人らしい貫祿くわんろくそなはつて居ります。