訃音しらせ)” の例文
「駿河台の御隠居様が、今朝急病で御逝去おなくなりなすったって。」「ええ。」「訃音しらせがありましたよ。あら、貴嬢あなたは御存じではなかったの、まあ御坐り遊ばせ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
月かくす雲花散らす風は、世に免れぬ例かや、浅木様の母御俄に御国もとにて、身まかりたまひしとの訃音しらせに、一度は帰りたまはではかなはぬ事となりにしぞ。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
其の奥様づきで牛込の方へ行ったとばかりであとは手紙一本も寄越さぬくらい、実にひどい奴で、夫五兵衞が亡くなった時も訃音しらせを出したに帰りもせず、返事もよこさぬ不孝もの