角刈かくがり)” の例文
「へい、貴方あなたへ。」と、俯向うつむけていた地薄な角刈かくがりの頭をもたげて、はぐらかす気か、汗ばんだか、手の甲で目を擦って、ぎろりと巽の顔を見た。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
インヴァネスを着た小作りな男が、半纏はんてん角刈かくがりと入れ違に這入はいって来て、二人から少しへだたった所に席を取った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
職人か寄席芸人かといったように髪を角刈かくがりにし、額を叩いたり眼をいて見せたり、ひとを小馬鹿にした、どうにも手に負えないようなところがあって、これが、最初、青木の興味をひいたのである。
昆虫図 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
すると三人目の角刈かくがりの若いのが、大きい声を立てて云った。
掠奪せられたる男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)