くつした)” の例文
許宣はしかたなしにくつを脱ぎくつしたってそれをいっしょに縛って腰にけ、赤脚はだしになって四聖観の簷下を離れて湖縁へと走った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一夜のほどにころもはかまくつしたくつまで織り縫い、また弓矢を作つて、衣裝を著せその弓矢を持たせて、その孃子の家に遣りましたら、その衣裝も弓矢も悉く藤の花になりました。
空には薄墨色をした雲が一めんにゆきわたっていた。許宣はしかたなしにくつを脱ぎくつしたも除って、それをいっしょに縛って腰にけ、赤脚はだしになって四聖観の簷下を離れて走りおりた。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)