衣装みなり)” の例文
旧字:衣裝
衣装みなりといい品といい、一見して別荘に来て居る人か、それとも旅宿やどを取って滞留して居る紳士と知れた。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
此の老婆が、もつとよい衣装みなりをして居たならば、彼女は、とつくに席を譲られて居たのに相違なかつた。
我鬼 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
この車夫くるまひきは車も衣装みなりも立派で、乗せていた客も紳士であったが、いきなり人車くるまを止めて、「何をしやアがるんだ、」と言いさま、みぞの中の親父に土のかたまりを投げつけた。
窮死 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ある日、彼は客のなきままに、自分で勝手なことを書いては消し、ワット、ステブンソン、などいう名を書いていると、八歳やッつばかりの男児おとこのこを連れた衣装みなりのよい婦人が前に立った。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
一人は三十前後のせがたの、背の高い、きたならしい男、けれどもどこかに野人ならざる風貌ふうぼうを備えている、しかしなんという乱暴な衣装みなりだろう、古ぼけた洋服、ねずみ色のカラー
号外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)