行状ぎょうじょう)” の例文
彼は哲学において、「ストイック」派にはあらざれども、その行状ぎょうじょうは確かに「ストイック」なりき。剛健簡質以て彼が生活をつくすべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
顔はたびたび云う通りはなはだ妙だが、行状ぎょうじょうに至ってはすこぶる気高いものであった。余はそのついにこの犬に逢う機会を得なかった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに微罪ながらも交番巡査に始末書を取られるといったような行状ぎょうじょうなどからして、直覚的ちょっかくてきに犯人推定を試みたのであった。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
主任の日頃の行状ぎょうじょうが行状だったものですから、私はついあんな風に断定して終ったのですけれど。
盗難 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その行状ぎょうじょうのいかなるを知らず、餅は餅屋、酒は酒屋の例を引き、病気に医者あり、教育に教師ありとて、七、八円の金を以て父母の代人を買入れ、おのが荷物を人に負わせて
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今度の不首尾に懲りて彼がきっと謹慎するようになれば、毒がかえって薬になるかも知れない。しばらくは其のままにして彼の行状ぎょうじょうを見張っているつもりだと、五郎三郎はまた言い聞かした。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼女は片恋かたこいながら、なにをおいても椋島を救いたく思い、それには、父博士によって、椋島技師の行状ぎょうじょうを有利に証言して貰うことができれば、必ず彼女の思いはとどくものと信じ
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
教うるよりも習いということわざあり。けだし習慣の力は教授の力よりも強大なるものなりとの趣意ならん。子生まれて家にあり、その日夜見習う所のものは、父母の行状ぎょうじょうと一般の家風よりほかならず。
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)