蝲蛄ざりがに)” の例文
女の市場商人がいがみあひながら、罵る相手に蝲蛄ざりがにをつかんで投げつけてゐるのや、大露西亜人モスカーリが片手で自分の山羊髯をしごきながら、片手で……。
にんじんは、口をつぐませるために、それを打とうとでもするように、そっと玉網のさおを引き上げると、これはまた、あしの繁みから、大きな図体ずうたいをした蝲蛄ざりがにがいくつとなく現われてくる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
雪溶けの沢水の中には、のそのそと歩きまわる蝲蛄ざりがに
葡萄蔓の束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
網には蝲蛄ざりがにが二匹ひっかかっていたし、鯉も一尾網の中で光っていた。女たちは、どうやら喧嘩でもしているらしく、何かしきりにいがみあっている。
蝲蛄ざりがにるのには、𨿸の臓物ぞうもつ牛豚ぎゅうぶたなどのくずより、猫の肉が一番いい」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
まるで袋から蝲蛄ざりがにを逃がしたように、矢鱈無性やたらむしょうに伸びひろがっている始末で、これではセリファンがどんなに無駄道を喰ったところで、決して彼の罪とは言えなかったからである。
蝲蛄ざりがには、彼を取り囲む。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)