蝋涙らふるゐ)” の例文
彼はみづから燃え尽きようとする一本の蝋燭らふそくにそつくりである。彼の所業やジヤアナリズムは即ちこの蝋燭の蝋涙らふるゐだつた。
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
勘五郎の返事を背後うしろに聽いて、平次は穴倉の中に入つて行きました。入口の石の上に、したゝか蝋涙らふるゐこぼれてゐるだけ、穴倉の中には、埃が一寸ほども積つて、人の入つた樣子などはなかつたのです。
蝋涙らふるゐの冷えゆく除夜の闇に寝る
今日:02 今日 (新字旧仮名) / 西東三鬼(著)