“薄紗（ダンテール）” の例文
うす暗い部屋の隅の、朽葉（くちは）色の長椅子に、白い薄紗（ダンテール）の服に朱鷺（とき）色のリボンの帯をしめた十七、八の少女が、靴の爪さきをそろえて、たいへん典雅なようすで掛けている。
キャラコさん：09 雁来紅の家 (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
山チイはむこうの甲板で薄紗（ダンテール）のフロックを着てワルツを踊っている。この劇的邂逅は悪くない。
だいこん (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
「薄紗（ダンテール）の朱鷺（とき）色の下着が、花弁のように四方へ垂れさがった中心から、薄卵色の靴下をはいた足が雄蕊のようにのびあがって、ちょうど大きな胡蝶蘭（カトレヤ）の花が咲きだしたようだったわ」
だいこん (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)
今日はシャンチィイのすばらしい薄紗（ダンテール）のついたレモン色のセヴィラーナを着ている。
だいこん (新字新仮名) ／ 久生十蘭(著)