葷酒くんしゅ)” の例文
葷酒くんしゅ山門ばかりでなく、表向きは妻帯も許さずで、近頃は表方に対して裏方と呼んでいる。寺の権妻を大黒といった。
符牒の語源 (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
この葷酒くんしゅとは酒と葷菜とを指したものである。また時とすると「不許葷辛酒肉入山門」と刻してあるものもある。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そして、葷酒くんしゅ山門に入るを許さず——の石段まで来ますと、ぷーんと酒くさい人間が摺れちがって行ったので
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだそうだ。葷酒くんしゅ以外の者は何人もこの山門さんもんに入る可らず。取りに行ってやる。」
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
然し葷酒くんしゅ(酒はおまけ)山門さんもんに入るを許したばかりで、平素の食料しょくりょうは野菜、干物、豆腐位、来客か外出の場合でなければ滅多に肉食にくじきはせぬから、折角の還俗げんぞくも頗る甲斐かいがない訳である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
禅家には、御承知のとおり葷酒くんしゅ山門さんもんに入るを許さず——という厳則がござりますが、各〻方もおつかれの御様子故、ただ今、粗酒を一こんいいつけておきました。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
葷酒くんしゅ山門に入るを許さず。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)