脇侍わきじ)” の例文
見上げるところの正面に、とても広大なる画幅がかかっていて、その周囲には、この脇侍わきじをつとめるらしい一尺さがった画像があるのであります。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
写真に掲出した画面は西方阿弥陀あみだ浄土の一部であり、本尊阿弥陀仏の脇侍わきじ、向って右側の多分観世音菩薩かんぜおんぼさつの像であろうと思う部面の上半に過ぎないが
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
もしこの画面の前方二尺ほどの所に対角線を引けば、両脇侍わきじの視線はその交叉点に集まり、本尊の上体はこの視線の交叉の上にささえられることになるであろう。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
多くのお社や堂には脇侍わきじともいって、姥の木像が置いてあり、また関の姥様の話にもあるように、児と姥との霊を一しょに、井の上、池の岸に祀っているという、伝説も少くないのであります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
光明后崩御ほうぎょの時には全国の諸寺が供養を営んで阿弥陀浄土の画像などを造ったが、特に一周忌の営みのためには、全国の国分尼寺に阿弥陀丈六像じょうろくぞう一躯・脇侍わきじ菩薩二躯を造ると共に
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
正義と信仰とが脇侍わきじであり、もしくは従者の地位しか与えられていない、というところが逆三位一体と、かりに名づけたもので、三つ一緒に歩いているから三位の観を呈するまでのこと
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
脇侍わきじの体もそれほど拙くはない。ここにも確かに「芸術家」が認められる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)