老女おうな)” の例文
警吏は直ちに來りて、そが夥伴なかまなる三人を捕へき。われはその車上に縛せられてまちに入るを見たり。市の門にはフルヰアの老女おうな立ち居たり。
しばしありて、今まで木影こかげに隠れたる苫屋のともしび見えたり。近寄りて、「ハンスルが家はここなりや、」とおとなへば、傾きし簷端のきばの小窓きて、白髪の老女おうな、舟をさしのぞきつ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
とざされたる戸をほと/\と打叩けば、腰曲りたる老女おうな入口に現れて、貸家見に來たまひしや、檀那がたの御用には立ち難くや候はんといふ。
かひものかご手にさげたる老女おうななりき。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
こを殺しつとて、咎めらるゝことあらば、いかにすべき。客。そは心安かれ。あるじの老女おうなも聞きしことあるべきが、われはボルゲエゼのうからなり。媼。