翠帳すいちょう)” の例文
あれが仮に翠帳すいちょうにおける言語にして見ろ。われわれが、もとの人間の形を備えて、ここを歩行あるいていられるわけのものじゃないよ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
居間との境を仕切る重い翠帳すいちょうを背景にして、眼醒めんばかりあざやかな全裸の姿態が今私の前に佇んでいるのであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
鳥羽離宮の翠帳すいちょうふかきところ春風しゅんぷう桃李とうり花ひらく夜か、秋雨しゅうう梧桐ごとうの葉落つるの時か——ただ一個の男性としての上皇が、ほおをぬらして語り給う少年の日の思い出を——美福門院も、おん涙をともにして