義弟おとと)” の例文
「言いおく前に、ぜひ知りおきたいことがある。——其許そこもとは前執権の義弟おとと、其許なれば真相もご存知かとおもわれるが」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時運のうしおもあろうし、尊氏の人物にもよったであろうが、おそらくはそれいぜんの、探題英時時代の人望やら多年にわたる下地が、たぶんに「——英時殿の義弟おとと」として
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
懺悔ざんげして、おれの義弟おととにあやまれ。てめえは、二重三重に、亭主をたぶらかしただけでなく、あらぬ罪を石秀にも着せ、始終、石秀がうるさく自分に口説き寄って困るなどとぬかしたろうが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわんや、荊州の故主劉表とは、血縁の間柄にて、わが君の義兄このかみたり、いまその血統絶え、荊州に主なきにあたって、義弟おとととし義兄このかみの業を承け継ぐに、何の不義、何の不可とする理由があろう。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)