美作びさく)” の例文
山蚕織やままゆおりのごつい大口袴おおぐち胴服どうぶくといった姿である。美作びさくの短刀一本、帯の前にたばさみ、腰の坐りもシャンとして折目ただしい。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高サ六尺二寸、弘仁期こうにんきのもので“子安地蔵”と呼ばれているという。またべつの“宝冠釈迦像ほうかんしゃかぞう”も補修は多いが、すこぶる美作びさくな鎌倉仏であった。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白地絖しろじぬめ葦手あしで模様を小紫濃こむらごのなかに散らした小袖、それへ袖のない“陣座羽織り”というものを着て、袴も唐織りらしい綺羅きら、前差しの小刀も美作びさくな黄金づくりである。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)