縫箔屋ぬいはくや)” の例文
染吉は贋金にせがね造りか、贋金遣いを知っていたのかも知れない。——縫箔屋ぬいはくやしてノラクラ者になった染吉が、こんな贅沢な暮しをしているところを
同町の縫箔屋ぬいはくやの長というやつが、門の前を通りおったから、なまくら脇差にて叩きちらしてやったが、うちの中間ちゅうげんがようようとめて、長のうちへ連れて行って
その他、大丸直属の仕立屋や縫箔屋ぬいはくやが幾軒かあった。店蔵づくりの、上方かみがた風の荏柄えがらぬりの格子窓で、入口の格子戸の前に長い暖簾のれんが下っていた。帯ばかりくける家もあった。
縫箔屋ぬいはくやだの、仕立屋だの、床屋だの、道具屋だの、駄菓子屋だの、炭屋だの、米屋だの……あんまり口かずをきかない、世帯じみた人たちばかりが何のたのしみもなさそうに住んでいた。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
親譲りの縫箔屋ぬいはくやを嫌い、いろいろもうかりそうな仕事に手を出して、派手な暮しをしておりましたが、そのために内輪が苦しくなるばかりで、近頃はひどい借金に悩んでおりました。
縫箔屋ぬいはくやだの、仕立屋だの、床屋だの、道具屋だの、駄菓子屋だの、炭屋だの、米屋だの……あんまり口かずをきかない、世帯じみた人たちばかりが何のたのしみもなさそうに住んでいた。
雷門以北 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
「そうかい、——だが、あの娘には、縫箔屋ぬいはくや丹次たんじが付いているてえじゃないか」