縦令よしや)” の例文
旧字:縱令
たもとを分つはたゞ一瞬の苦艱くげんなりと思ひしは迷なりけり。我身の常ならぬが漸くにしるくなれる、それさへあるに、縦令よしやいかなることありとも、我をばゆめな棄て玉ひそ。母とはいたく争ひぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「否、かく衣を更め玉ふを見れば、何となくわが豊太郎の君とは見えず。」又た少し考へて。「縦令よしや富貴になり玉ふ日はありとも、われをば見棄て玉はじ。我病は母ののたまふ如くならずとも。」
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
縦令よしや我身はくらはずとも。それもならずば母の言葉に。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)