継立つぎた)” の例文
旧字:繼立
荷回し人はおぼしめし次第だ、そんなことも言って来たが、中牛馬ちゅうぎゅうば会社に頼んで、飯田まで継立つぎたてにするのが便利かもしれないな。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ご亭主、ご亭主。継立つぎたて継立て、銚子のかわりを三枚肩さんまいでお願いしやす」
これは宿駅常置の御伝馬以外に、人馬を補充し、継立つぎたてを応援するために設けられたものであった。この制度がいわゆる助郷すけごうだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
三千五百人からの尾張の人足が来て馬籠の宿に詰めた。あの時、二百四十匹の継立つぎたての馬を残らず雇い上げなければならなかったほどだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
尾張おわり領分の村々からは、人足が二千人も出て、福島詰め野尻のじり詰めで殿様を迎えに来ると言いますから、継立つぎたてにはそう困りますまいが。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
街道の継立つぎたても困難になって来た。現に彼が馬籠を離れて来る前に、仙台侯せんだいこうが京都の方面から下って来た通行の場合がそれだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こう御公役の諸大名の往来が頻繁ひんぱんになって来ては、継立つぎたてに難渋するし、人馬も疲れるばかりだ。よいにも悪いにもこういう時世になって来た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
兵庫、西宮にしのみやから大坂間の街道筋は、山陰、山陽、西海、東海諸道からの要路に当たって、宿駅人馬の継立つぎたても繁雑をきわめると言われたころだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
やむなく宿内から人別にんべつによって狩り集め、女馬まで残らず狩り集めても、継立つぎたてに応じなければならない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
人馬の継立つぎたて、継立てで、多年助郷すけごう村民を苦しめた労役の問題も、その解決にたどり着いたのである。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この人数が通行するから、休泊はもちろん、人馬継立つぎたて等、不都合のないように取り計らえとある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
馬籠でも戸長をはじめとして、それぞれの御用取扱人というものを定めた。だれとだれは調度掛り、だれは御宿掛り、だれは人馬継立つぎたて掛り、だれは御厩掛り、だれは土木掛りというふうに。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼は言葉も通じないから、先方で言おうとすることをどう解していいかわからなかったが、人馬継立つぎたての駅ならこの山間に十一か所あると答え、かつては彼もその駅長の一人であったことを告げた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)