紅提燈べにぢょうちん)” の例文
新字:紅提灯
それに年末の売出しで、景気づけの紅提燈べにぢょうちんがずらりと歩道の上にかかって、洋品店のバルコニーでは楽隊がマーチをやっていました。
群衆はきそうてその側に集まる。紅提燈べにぢょうちんに灯がともる。空は灰色からだんだん暗黒になってゆく。それから都踊りを見た。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
平常ふだんでさえにぎやかな人形町通りの年の市はことのほか景気だって、軒から軒にかけ渡した紅提燈べにぢょうちん火光ほかげはイルミネーションの明りと一緒に真昼のように街路まちの空を照らして
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)