節倹家しまつや)” の例文
節倹家しまつやの八郎右衛門は、その日も一寸した外出着よそぎしか着てゐなかつたが、光琳は風流な金更紗きんさらさの羽織をはおつて澄ましてゐた。二人は葵橋のたもとに立つて祭の行列を待つてゐた。
それでも先代の親仁おやじと言うのが、もう唯今では亡くなりましたが、それが貴下あなた、小作人ながら大の節倹家しまつやで、積年の望みで、地面を少しばかり借りましたのが、わたくし庵室あんじつ背戸せどの地続きで
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)