節介せっかい)” の例文
仰向けに釣台の上に裸で寝かされているイヤなおばさんは、別段に寒いとも言わないのに、ピグミーがしきりに節介せっかいを焼きたがる。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ハハア、それがウインクてんだな。新式の——」と補欠サブの佐藤が、にくらしく、お節介せっかいな口を出すと、皆がどッとふきだしました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「だからお節介せっかいはやめてくれと言うんだ。一人なら吃りながらでもしゃべれるが、きみがいると気が散るんだ、頼む、きょうは来ないでくれ。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
丹下左膳が思いをかけている弥生をあおりたてて栄三郎への慕念をたきつけ、それによって恋のうずまきをまんじに乱してやろうと、頼まれもしない嫉性鬼女しっしょうきじょのお節介せっかいに、この雨のなかを
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「お節介せっかいめ!」
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「いや、よけいなお節介せっかいで長話をしてしまった、人間はあとのことを振返らねえで、先のことを考えなくちゃいけねえ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「大変なことがあるんだ。これがおおやけになったら熊本さんの一生は台なしだよ。君はあんなにして特に親しいから、君からいっぺん忠告してやれよ」と親切にお節介せっかいを焼いてくれます。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
と来たときに、お節介せっかいな与の公、耳をおさえて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しゃべり坊主の弁信は、どうしても持って生れたお節介せっかいをやめることはできないものと見えます。そこで九曜巴の提灯を振りかざして、大勢の中へ飛び込んだものです。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やいばの音を聞いて駈けつける者のなかには、よけいなお節介せっかいが飛び出さんとも限らぬ、この札を立てて、あらかじめ予防線を引いて、一方が一方を片附けるか、双方ともにたおれるかまで
節介せっかいなものはないのです——本来、こうして、我々当事者間が無事に進行して行きさえすれば何のことはないはずであるのに、利害も、感情も、関係のないはずの世間というやつが
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)