箪食壺漿たんしこしょう)” の例文
箪食壺漿たんしこしょうの歓びに沸きたってはおるが、かんじんな相馬の大殿おおとの将門ぎみが、なんと、ややもすれば、お淋しそうな、お顔つきではあるまいか。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな江戸の時世でいながら、銅鑼亀どらかめさんの部屋にいる日傭取ひようとりなどは、食う話ばかりしていて箪食壺漿たんしこしょうにたんのうしたことなどは夢にもない。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでにして三軍は、成都の市街を離れて、郊外へさしかかったが、郊外へ出ればここにも田園の百姓老幼が、箪食壺漿たんしこしょうして、王師のこうをねぎらった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次代の国土に文化に万民をして心から箪食壺漿たんしこしょうせしめるような大人物がおりましょうか、残っておりましょうや……指を折ってみるまでもないではございませぬか
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、たずさえてきたいのこや鶏を献物に捧げ、箪食壺漿たんしこしょうして、にぎやかに帰った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)