竜頭蛇尾りゅうとうだび)” の例文
旧字:龍頭蛇尾
と主人は例によって例のごとく竜頭蛇尾りゅうとうだびの挨拶をする。倫理の先生は丹波の笹山を連れて表門から落雲館へ引き上げる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いわば、竜頭蛇尾りゅうとうだび、たとえば千メートルの競争だったら、最初の二百メートルはむちゃくちゃに力を出しきって、あとはへこたれてしまうといった調子。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
しょうをして常にこの心を失わざらしめば、不束ふつつかながらも大きなる過失は、なかりしならんに、こころざし薄く行い弱くして、竜頭蛇尾りゅうとうだびに終りたること、わが身ながら腑甲斐ふがいなくて、口惜くちおしさの限り知られず。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
やがて「船頭は無理でしたか」と御世辞のないところを打ち明ける。東風子は別段癪に障った様子もない。やはり沈着な口調で「その船頭でせっかくの催しも竜頭蛇尾りゅうとうだびに終りました。 ...
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
迷亭はここに至って迷亭一流と自称する形容詞が思うように出て来ないので俗に云う竜頭蛇尾りゅうとうだびの感に多少ひるんで見えたがたちまち「活動切手などは何千万枚あったって微塵みじんになってしまうさ。 ...
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)