空々くうくう)” の例文
二三日にさんちは事もなく過ぎたが、或る日の午後二時頃また迷亭先生は例のごとく空々くうくうとして偶然童子のごとく舞い込んで来た。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
以上三点の区別より推測するに、死後の霊魂なるものは、実に空々くうくう漠々ばくばく渺々びょうびょう蕩々とうとう、苦もなくまた楽もなく、知もなくまた意もなきありさまならざるべからず。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
英国きっての人口の稠密ちょうみつな地方だというに一列車が乗客を載せたまま、熟練な化学実験の大家たいか空々くうくうたる瓦斯ガスにでも変化してしまったかのように、影も形も見えなくなったのだ。