私心ししん)” の例文
自分がほんとうに観察し、実験し、生活して来た自然界の出来事、若しくは現象を、何等なんら私心ししんなく正直に厳粛に描写するのが、藝術の任務である。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
たとえ官兵衛にこころよからぬ者どもも、日ごろの私心ししんや不和などは一切打ち捨てて談合もし結束もしてくれねば困る
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば孔子こうしが『春秋しゅんじゅう』を書くに私心ししんをはさまなかったとは、『春秋』に出る人物を批評するに好きだからめる、しゃくにさわるから悪く書くというのでなく、好悪こうおは論外として
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)