その女は年のころ十七八の紅裙翠袖こうくんすいしゅうの美人で、月の光にすかしてみると韶顔稚歯しょうがんちし国色こくしょくであるから、喬生は神魂瓢蕩しんこんひょうとうじぶんで己を抑えることができないので、女のあとになりさきになりしていて往くと
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)