祈願ねがい)” の例文
双方の祈願ねがいが一緒になって、あやめとお葉と主税とは、この夜荏原屋敷へ忍び込んだのであった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なんの祈願ねがいか、なんの呪詛のろいか。殊に外出を封じられている衣笠が、この夜ふけに一人の供をも連れないで何処いずこへ行くつもりであったろう。千枝太郎にはとてもその想像が付かなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし神はモーセの祈願ねがいを聴きたまいしがごとくにダルガスの心の叫びをも聴きたまいました。黙示は今度は彼にのぞまずして彼の子に臨みました、彼の長男をフレデリック・ダルガスといいました。
性来の悪魔性が——嗜虐しぎゃく性が、ムクムクと胸へ込み上げて来、この純情の処女おとめの心を、嫉妬と猜疑さいぎとで、穢してやろうという祈願ねがいに駆り立てられるのであったが、今は反対で
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)