磐城いはき)” の例文
弓弭ゆはづ清水しみづむすんで、弓かけ松の下に立つて眺める。西は重疊ちようでふたる磐城いはきの山に雲霧白く渦まいて流れて居る。東は太平洋、雲間漏る夕日の鈍い光を浮べて唯とろりとして居る。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
町はづれの隧道とんねるを、常陸ひたちから入つて磐城いはきに出た。大波小波鞺々だう/\と打寄する淋しい濱街道を少し往つて、有る茶店さてんで車を下りた。奈古曾なこその石碑の刷物、松や貝の化石、畫はがきなど賣つて居る。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)