矜持きようぢ)” の例文
次兄は馬の世話をするのはそれほど好んではゐなかつたが、あまり房一がつきまとふので、一種の矜持きようぢを感じて来て、房一には少しも手出しをさせなかつた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
いぢらしい愉悦と矜持きようぢとを抱いて、余念も無しに碩学せきがくの講義を聴いたり、豊富な図書館に入つたり
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
縱令たとひ忘られざらんも、その偶〻たま/\存ずるは汝が囹圄れいご桎梏しつこくとして存じ、汝が性命の杯中に落ちたる毒藥として存ずるならんといふ。われはタツソオの上をおもへり。矜持きようぢせるレオノオレよ。