みは)” の例文
そのうちに、あくる年の二月の末になって、チエ子の父親が、長い航海から帰って来たが、玄関に駈け出して来たチエ子を見ると、ビックリして眼をみはった。
人の顔 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その武威に、その文化に、東洋の新興民族として、全世界の眼をみはらした日本人の化の皮は、その首都の名に於て、美事に引っ剥がされてしまったのであった。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
思いは同じ弟も、同じ下宿の闇黒の中に眼をみはりながらジット時計のセコンドを数えている気はいが、一所に眼を醒ましている私にアリアリと感じられるようになりました。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
如何にも不思議そうに眼をみはったまま口をモゴモゴさせているのであった。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と一人が筒抜けの大きな声を出したが、その男が朦朧もうろうたる酔眼をみはって、両手を高く揚げながら立ち上ろうとすると、真先に私のいるのに気が付いたと見えて、ビックリしたらしく尻餅を突いた。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)