眷々けんけん)” の例文
姉は絵を習い出すと、めきめきうまくなって、師匠の言うことは眷々けんけん服膺ふくようして、熱心に通った。実に師匠思いで、先生から貰ったものは紙一枚でも大切にしまって記念にしていた。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
眷々けんけんの情に堪えざるを、今日のみは、これより夜を徹せん覚悟なれば、悠々として帰心の清興を乱す無く、殊に愈本時刻に入るを喜ぶは、夜行して暁天に近づくを喜ぶに同じく、得意の興趣
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
彼は眷々けんけんとして去るあたはざるなり。待ちかねたる子爵は呼べり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)