百瀬ももせ)” の例文
されどこれは大町の百瀬ももせ君が大正二年に鹿島槍惻から此方面を探検されて、通行の可能なることをたしかめられた。
八ヶ峰の断裂 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
子供持ちだというを可哀そうがって鷺町の旧家の百瀬ももせの老妻が橋を渡らせ、鷺町へ連れて来て自分の家をも貰い先の常得意にさしたのでしたが、そのとき
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
鉄砲町の百瀬ももせという接骨医の裏にいたが、半片はんぺんを三角にきって煮附につけたお菜をわけてくれて、絵硝子ガラスのはまった行燈あんどんのわきで一緒に御膳をたべさせるのを楽しみにしていた。
話は前に戻るが、問題の娘は、百瀬ももせしのぶ、二十歳、もちろん実家は百姓、没落組の地主だが、父親は身勝手な自由主義者の一人、小生の血を分けた兄で、同時に、不倶戴天の政敵だ。お含みを願う。
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
この役を引受けたのが百瀬ももせの新家の息子の啓司で、ネクタイ無しの半ズボンで下駄を穿き、二連銃を擬して森のような大木の梢に向って頻りに発砲しています。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)