発露はつろ)” の例文
旧字:發露
人類は、後を行く者が、前を行くものよりもすぐれているべきだと思った。理窟りくつはない、まさに親馬鹿の発露はつろである。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
恐らくそれは、ただの感謝の念からのみでなく、若い女の苦学生に対する同情の発露はつろからでもあったであろう。
かれの信念の自然の発露はつろであったかもしれないが、——「国体」とか、「陛下」とか、「大御心」とかいう言葉で、自分の論旨ろんし権威けんいづけることに努力した。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
朝御飯を無理やり三杯おし込むのも、窓際に整列するのも、みな青年隊ユーゲントの精神に即したことで、なかんずく、浮筏ラドオでほかの組の女の子を沈めにかけるのは、その最も偉大な発露はつろなのである。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは職業だと思うからして起る冷静さが、そういう感情の発露はつろをぎゅッとおさえたのである。しかしいま糸子の場合においては、それがどういうものか抑えきれなかったのは不思議というほかない。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)