発条ぜんまい)” の例文
当時板倉は、これもアメリカで買った、自動的に発条ぜんまいの懸る、水に漬けても大丈夫と云う自慢の腕時計をしていたけれども、それがいつの間にか用をなさなくなっていた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
明智の突然の子供じみた仕草しぐさが二人を驚かせた。が、それよりも一層変なのはピアノの音であった。明智の指が鍵盤に触ると、発条ぜんまいのゆるんだボンボン時計の様な音が響いて来た。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
発条ぜんまいのゆるんだ煖炉棚の時計が、ねぼけたような音で十一時をうった。
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
僕は発条ぜんまい仕掛けのようになってお辞儀をした。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「欠伸は頭の中の発条ぜんまいゆるんでいる証拠だよ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)