癩者かたい)” の例文
夜闇よやみの庭先の忍逢いに、なんのための面甲かと理解に苦しんでいたが、癩者かたいまきというなら話は至極疏通する。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
強いて附会こじつければ、癩者かたいの膝頭とでも言うべき体裁だが、銅の色してつらつらに光りかがやく団々だんだんたる肉塊の表に、筋と血の管のあやがほどよく寄集まり、眼鼻をそなえた人のつら宛然さながらに見せている。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)