痰壺たんつぼ)” の例文
それらの不幸な人々は、手に痰壺たんつぼをもって、たがいに様子をうかがいながら、相手のうちに死期の迫るのを見守っていた。
おしっこを客車の通路にある痰壺たんつぼにしてしまった失敗談(しかし、その上京の時に、自分は痰壺と知らずにしたのではありませんでした。子供の無邪気をてらって、わざと、そうしたのでした)
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
すると、さわられた家具は、つぎつぎとしゃべりだしました。しかも、みんながみんな、自分のことばかりしゃべりたてました。なかにただひとり、痰壺たんつぼだけは、だまりこくって立っていました。
興録の持って来た薬びんから薬を半分がた痰壺たんつぼに捨てた。日本から木村に持って行くように託された品々をトランクから取り分けた。その中からは故郷を思い出させるようないろいろな物が出て来た。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)