男谷おたに)” の例文
幼少の時、剣槍けんそう男谷おたにの道場へ、後に九段の斎藤弥九郎の練兵館にみがき、学問はいう迄もなく、孜々ししと毎日三田の塾まで通っている。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし家は剣道で名うての男谷おたにの家、兄は日本一の男谷下総守信友であって、それに追従する腕を持っていたのだから、始末が悪い。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
勝の家も小身ながら開府以来の江戸人である、男谷おたにの方は越後から来た検校出けんぎょうでということだが、それも何代か江戸に居ついて、江戸人になりきっている。
コノ男ガカンしゃくノ強気者デ、男谷おたにノ弟子モ皆々タタキ伏セラレテ浅草ノ新堀ヘ道場ヲ出シテ居タガ、オレハ一度モ逢ッタコトガナイカラ、近附ちかづきニ行ッタラ、ソノ時オレガ思ウニハ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「勝は四十俵の小普請こぶしん、石川右近の組下だが、勝の父は男谷おたにから養子に来たのだ」
実家男谷おたにの父親のことで、平蔵と言い、兄というのは即ち下総守信友で、当時府下第一の剣客なので、その男谷平蔵の三男として生れた小吉が、勝家へ養子にやられたこの自叙伝の主人公
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その日になりて、夕方より番場の男谷おたにへ行ったら、先の兄弟も待っていて