由井正雪ゆいしょうせつ)” の例文
そこで、由井正雪ゆいしょうせつ陰謀事件が慶安四年十一月二十九日丸橋忠弥まるばしちゅうやらの処刑で結了すると、幕府は直ちに浪人の処分の事を議した。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
「まだ、ほんの子供みたいな娘で、由井正雪ゆいしょうせつの講談本を読んで、何となく人を驚かしてみたく、夜明けに村の家へ庖丁を持ってはいったのですよ」
頭髪は昔の徳川時代の医者のような総髪を、絵にある由井正雪ゆいしょうせつのようにオールバックに後方へなで下ろしていた。
追憶の医師達 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「ヘエ——、するとやはり、田代屋一家内の紛紜もめごとではなくて、由井正雪ゆいしょうせつ、丸橋忠弥の残党が、田代屋に昔のうらみをかえすためと考えたものでございましょうか」
後年こうねん由井正雪ゆいしょうせつ一味のむほんのくわだてまで見やぶって、智恵伊豆という異名をとった——参州吉田の城主七万石、松平伊豆守信綱のぶつなの方へとまわっていったのです。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
松田さんは、由井正雪ゆいしょうせつみたいに髪を長くしていて、寒気がする程、みっともない姿だった。昔昔、毒草と云う映画を見たけれど、あれに出て来るせむし男にそっくりだと思った。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
由井正雪ゆいしょうせつの残党が放火したのだという流言が行なわれたのももっともな次第である。
函館の大火について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)